日本語教室(ときめき☆クラブ)

 2014年度のときめき☆クラブも早2ヶ月。春休みが長かったので、「忘れてました!」という参加者もいて静かなスタートでした。6月になって徐々ににぎやかさが戻ってきています。新しいメンバーも加わって、雰囲気も新たになりました。

 今年度は、参加者の「マイプラン実現」がテーマです。参加者にプランをたずねると、「ひらがながすらすら書ける」「富士山を登る」「日本語をもっとがんばって自分の国の美しさを紹介する」など、いろいろなお話が聞けました。それらのために我々ができることは何もないのですが、活動を通してその実現に向けての自信をもってもらえたらと思っています。

 ところで、3年ほどクラブに来ていた参加者が国へ帰るため、急きょ6月のある日にパーティーを企画しました。当日は初対面同士の人もいたため、初めに名前だけの自己紹介をしてからお茶を飲みながら歓談。それからおきまりのチーム対抗ゲームタイムへと移りました。

 まずはジェスチャーゲーム。チームの代表者がお題についてジェスチャーで表し、仲間がどれだけ短い時間で答えられるかを競います。難しいお題もあれば簡単なお題もあるし、お題の言葉を知っているか知らないかなど、運も大きく作用します。表現豊かなときめきメンバーはそれぞれのパフォーマンスをして、答える側は一生懸命考えました。みんな必死に伝えよう、受け取ろうと体当たりで、大盛り上がりでした。

 次はスイカ割りもどき。代表者が目隠しをして障害物をよけながら進み、目標物にたどりつくまでの時間を競います。目隠しされた人は、仲間の「左!」「ちょっと右」などのヒントを頼りに進みます。みんなとても怖かったと言っていましたが、どのチームもなんとか目標までたどりつきました。

 おひらきには主役へひと言ずつ言葉をかけました。今まで一緒に活動してきた仲間の言葉は、少ない日本語であっても主役に対するそれぞれの思いが込められていたと思います。まだまだ試行錯誤中の日本語教室ですが、こうした国を超えてのつながりをみて、トッカビのときめき☆クラブは日本語じゃないな、と改めて感じました。マイプラン実現のためのときめき☆クラブが、参加者にとっての居場所であることには2010年の開始当時から変わりありません。今年度も参加者がたくさんの友人や地域の人とつながり、夢や日本語に自信を持って、楽しくすごせるように活動していきます。

 

 

 昨年度末の交流会では、おなじみのロシア民謡「おおきなかぶ」を、ときめきバージョンで演じました。挿絵のみを見て、みんなで台詞やナレーション、またオリジナルの登場人物を考えてつくったものです。日本語訳で使われている「うんとこしょ、どっこいしょ」にあたる部分は「1,2,3!」がいいという意見が多く、そこを参加者の言葉である中国語、タガログ語、ベトナム語で表すことにしました。知らない言葉で、しかも大勢でかぶを引きぬくときのかけ声ですからタイミングを合わせるのが大変でした。でもときめき☆クラブはチームワークばっちり。練習通り、息ぴったりでした!みんなのアイデアを脚本にまとめたのはわたしですが、当日はアドリブのオンパレード!ゲストだけではなく、支援者側もドッキリ大笑いの劇をみせてくれました。

 劇の後は全員でのジェスチャーゲームで盛り上がりました。この日はたくさんの中国帰国者のゲストが来られていたのですが、最初はメンバーとなじめない様子だったのに、このゲームですっかりうちとけたようでした。ジェスチャーゲームは「伝えよう」「理解しよう」、その気持ちがあれば誰でもできます。今年度もこうしたコミュニケーションの基本を忘れずに活動していきます。

 そのコミュニケーション力アップが目的のときめき☆クラブは、2013年「自律学習」を取り入れてきました。自律学習は「学習者が自分で目標設定し、リソースを選択し、学習計画をたて、ふりかえりを行うこと」と言われています。言葉では理解できますが、実際支援者は何すればいいの?それが我々の課題でした。そのため3月に講師のかたをお招きして、手探りだった自律学習について改めて勉強会を行いました。そのうえで、ときめき☆クラブの自律学習をもう一度考えてみることにしました。

参加者は日本語へのなんらかの思いが壁になって、何かと躊躇されていることが多いのは否めません。どんな自分になりたいか?そのために何が必要か?自信を持って行動するきっかけや、日本語が壁になっているのならそのブレーキを取り除くことが大切です。参加者が自己実現のために「マイプラン」をつくり、マイプランに必要なことを参加者が選んで決めるというプロセスに対して、日本語はどんなお手伝いができるのでしょうか。支援者が焦ってしまって答えを出そうとせず、マイプランの主役である参加者が決めるのを待ちながらできることを考えます。

 

 

 

 毎年「今年は特に暑い」と言っている気がしますが、今年は本当に暑い!にもかかわらず、みなさん体調やご都合と相談しながら日本語学習がんばっています。この夏は新しいメンバーも加わり、ときめき☆クラブはますますにぎやかになりました。

 ときめき☆クラブでは、今年度からいわゆるお勉強カラーを極力取り除いて、みなさんが自由に自分を発信できる場となることを心がけてきました。そのため、参加者のなかには「勉強していない」と違和感を覚える方もいるかと思います。ですが、毎回の会話やゲームなどの活動を通して、どなたも確実に「はい、いいえ」だけじゃない日本語を自分から話そうとしておられるのが伝わってきます。今回はこれまでの活動について少し紹介したいと思います。

 日本語学種でよく話すネタのひとつですが、「夢」について話しました。といっても、近い将来言ってみたいな、やってみたいな、といった身近な話題です。「わたしは○○がやりたいです」で終わらせず、ここでは「のために何が必要?」ということを考え、話してもらいました。たとえば、何か習いたいとき、「教室を調べる」「自分が作れる時間はどれくらいか調べる」・・・、などの考えがでました。やりたいことはそれぞれいろいろありますが、共通したのは「やっぱりお金がいるね」ってこと。これはわたしも実感しています。

 参加者のなかには、「日本語で考えるからよけいしんどい」と言う方もいました。夢について話すって、実はとても難しいことだと思います。そこにはイメージすることの難しさがあるかもしれません。アスリートのような脳があれば別ですが、やりたいことがあっても物理的経済的・・・さまざまな事情が先に立ち、そこから進まないのが一般的です。日本語学習者がとくに感じるのは「日本語の壁」だと思います。みなさんがやりたいことに躊躇せずにチャレンジしていけるよう、ときめき☆クラブも応援します。

 ところで、この夏はみなさんで川柳に挑戦しました。はじめは五七五に戸惑った様子が伺えたのですが、とてもリズムがよいことなどに気づき、思い思いの作品ができました。最後にたくさんの作品の中からいくつか紹介したいと思います。

 

  蝉が鳴く 夏が始まる 賑やかに

  休みの日 家でのんびり ひるねする

  休みの日 海へ行きたい 釣りをする

  おぼんきた かぞくとあそぶ バーベキュー

 

すてきな感性を夢や生活にどんどん生かして下さいね!

 

 

 これまで安中人権コミュニティセンターで開催してきた地域日本語教室は、「ときめき☆クラブ」となった2013年度からトッカビ内で行っています。また、初中級クラスと上級クラスを曜日で分けていたところを同じ曜日に開講することにしました。広い会場からひとつの部屋での開催に変わったこと、さまざまな日本語レベルの人が一緒に参加できることなどから、窮屈にならず、にぎやかな空間が生まれました。

 「自律学習」というかなり抽象的な目標を掲げてスタートした「ときめき☆クラブ」。はじめの2ヶ月は、「自己分析」を課題にして、自分について細かく話す機会を設けました。これまで“もう飽きた”と、言われるくらい自己紹介的な学習は行ってきましたが、今回は自己紹介のやり方ではなく「自己分析」に重きをおきました。そのためみなさんすごく疲れた様子でしたが、自分について日本語で話すことへの抵抗感はなくなってきたように感じられました。人によっては「必要な日本語」が見えている参加者もおられ、こちらとしても支援の方法を考える手がかりとなっています・

 ところで、上級クラスのみなさんは、既に自分で学習する方法を各自で身につけておられるので、次のステップへどのように促すかが課題でした。私たちが考えるステージは「支援者になる」ことです。上級クラスにみなさんはやはり「いやいた、まだまだ」などとおっしゃっていますが、日本語話者にはできないアドバイスをきっとお持ちでしょうし、同じ勉強をしてきた仲間として参加者の目標にもなるはずです。また、支援する側になることで新たな疑問点や不明点に気づくなど、ご自身の勉強にもなることでしょう。

 先に、今年度は初中級クラスも上級クラスも同じ曜日に開催することにしたと述べましたが、上級者を支援者側に引っ張ることが目的のひとつでもありました。全員での活動など、みんなで協力する時間ではおおいに活躍していただきたいと思います。知らない間にいつの間にか自分が引っ張っていた、という状況が理想ですね。

 これまで、今年度は参加者が自分に必要な日本語テーマを見つけていくきっかけにしたいと述べました。上級クラスのみなさんに対しては、「学習者」としても「支援者」としても、ご自身の幅をさらに拡げるための自律学習をサポートできればと思います。いろいろなステージで活躍されるみなさんの今後が、とても楽しみですね!!

 

■「ときめき☆クラブ」始めます!

 

 2013年度は自律学習をテーマにした教室を企画中ですが、まずは名前からということで、またまたあらためることにしました。「ときめき☆クラブ」は日本語教室ではあるのですが、勉強という雰囲気ではなく、日本語を使って参加者それぞれがやりたいことを発信できる場となることを期待してつけたタイトルです。

 とはいえ、計画を進めれば進めるほど「自律学習」はとてもむずかしいテーマだということに気づかされました。参加者主導の教室は、地域日本語においてとても理想的な教室だと思われますが、自分で自分のニーズをみつけていく学習となると参加者の性格や日本語レベルによっては混乱した教室になるのはあきらかです。みなさんがしたいのは「日本語」であって、「自分が必要としている日本語」についてはあまり考えてこなかった人が多いかもしれません。では自律を促すにはどうすればいいのでしょうか・・・?

 話は変わりますが、昨年一緒に日本語を勉強した方についてご紹介します。Aさんはとても前向きで意欲的なのですが、いざ社会に出ると通訳にすべてを任せておられました。大切な手続きなど通訳に委ねることももちろんあって当然ですが、せっかく日本語を勉強しているのにそれを使う機会を逃すのは非常にもったいないです。Aさんに自分でできることを増やしてもらおうと、ある機関の受付の仕方について練習したのですが、やはりひとりは不安だと言います。「あそこの受付では型どおりのことしか言わないから絶対大丈夫!」と言って送り出したところ、次に会ったとき満面の笑みで報告してくれました。

 「先生、ひとり大丈夫だった!これからも平気!すごいなー。」

 それを機に、Aさんはひとりでどんどん出かけるようになりました。自分でクリアしたことが大きな自信となり、いろいろなことに挑戦したいという意識が強まったのです。また携帯電話のメール送信やパソコン入力、ファックス送信など、今まで日本語ができる人に頼っていたことを自分でするようになりました。そしてやってみて難しかったことは、どんどん質問にこられます。

 日本語学習においての各自のニーズは必ずしも「文法」や「漢字」だけではないと思います。自分によって何が必要かを知るためにはなんらかのきっかけが大切だなと、Aさんと一緒に勉強して感じました。自律学習1年目は、参加者のみなさんが自分にとって必要な日本語テーマを見つけていくきっかけとなる年にしたいと考えています。そのためにどんなサポートができるのか、スタッフ一同今年も奮闘します。

 

■年明けのときめき☆ちいき日本語教室


 とても寒い日が続いたにもかかわらず皆さん笑顔で頑張ってました!

 締めくくりの教室ではいろいろな発表やインタビューをしました。皆さん恥ずかしいと言いながらも、ちゃんとやってくれるんです。これは日本語教室が始まった3年前とはまったく違う風景です。3年前ももちろん同じ取り組みはしていたのですが、「恥ずかしい」「できない」で止まってしまうかたがたくさんいました。それが今では、支援者が促さなくても自分から前に出るようになりました。とてもシャイなかたが、しっかり前を見てすらすらと自分の気持ちを発表していたのが印象的です。また、日本語にもうひとつ自信を持っていないかたが、あまり話したことのない支援者にインタビューし、詰まりながらも最後まで聞きたいことをしっかり聞いていたのもとても嬉しいことでした。

 実は今年度から突然、日本語教室に「ときめき☆ちいき日本語教室」というタイトルがついていたのですが、これは「みんなの期待や嬉しいこと、楽しいことが詰まったコミュニケーションの場」を意図しています。日本語教室と聞けば、「日本語やらなきゃ」と少し重圧に感じるかたがいらっしゃるかもしれません。始めた当初は講師自身もそんな気持ちでした。しかし回を重ねるごとに八尾の中では日本語の勉強ではなく、誰も孤立しない日本語を通じた居場所展開が必要だと考えるようになりました。それぞれができること、知っていることを披露できる交流会ややおえこりへの参加などで、教室の皆さんはずいぶん変わりました。何らかの仕掛けは必要ですが、全てを支援者側からではなく「自分から」発信提案していくことが地域でつながるうえで大切なのではないでしょうか。

 教室内でのインタビューや発表が変わったのも、そうした積み重ねかなと思います。来年度の日本語教室はさらに「自律学習」をテーマにした運営を企画していきたいと考えております。そのために地域の皆さまにご協力をお願いすることもあるかと思いますが、今後もときめき☆ちいき日本語教室をよろしくお願い致します!

 

 ■2012年最後の日本語教室は恒例の交流会

 

 八尾市役所文化国際課の職員の方にもご協力いただき、みんなで「まち」について考えました。

 まずは文化国際課から、八尾市についてクイズを交えたお話がありました。皆さん、改めて八尾市ってすごいんだなあと感じるところがあったようです。たとえば工場の数でいうと大阪府内で第3位であること、特産品に河内木綿などの高級品があること…。住んでいてもこうしたことを知る機会はなかなかないですので、市役所職員からの直接のプレゼンは説得力もあり、学習者にとって新鮮だったと思います。

 「まちづくりワークショップ」では、新しいまちに老若男女、さまざまな文化や国籍、社会的ハンディキャップのある人が一緒に住み始めるという設定で、どんなまちにするかをグループごとに話し合いました。24時間対応病院や外国製の薬を取り扱う薬局、学校や教師数を増やす、ウォーキング専用遊歩道など、ぜひ実現してほしい意見がたくさんでました!その中で共通したのは、住民のルーツ語全ての通訳システム充実(市役所、病院、学校…)、自国の情報がわかるサービス(図書館に多文化雑誌…)など、どんな文化背景や国籍の人も安心、安全に住めるまちということ。そして、わたしが個人的にとくに印象に残ったのは、まちの中心部に多文化屋台街をつくり、地域活性化して経済をまわそうというアイデアです。これこそ多文化共生ではないでしょうか。6千人以上の外国人市民が住む八尾市で、なにか参考にならないかな?こんなパラダイスのようなまちなら誰もが元気に笑顔で暮らせますよね。

 おひらきは、みんなでしっとりと「きよしこの夜」、元気よく「ジングルベル」を歌いました♪日本語教室では夏に「河内音頭」を練習しましたので、支援者がジングルベルに河内音頭を取り入れたステップをつけてくれました。皆さん、日本語やアイデアだけでなく、音楽、ダンスのセンスも抜群でした!

 

■日本語教室やってます!

 

 2010年の11月から開催している日本語教室(文化庁からの委託事業)も無事1年をすぎ、新しい年を迎えました。学習者はベトナム、中国出身の方が多いですが、フィリピンやペルー出身の方も来られたことがあります。1回の参加で終わる方もいますが、今はほとんどの学習者が継続して参加しています。

 開講当時から参加しているTさんは、初めの頃、ほとんど誰とも話さず授業のあいだ緊張している姿しか見れなかったのですが、最近ではクラスメートや講師、支援者ともすっかりうちとけて冗談も言うようになりました。Nさんは、当初は講師に言われたことが上手く理解できずに違う答えをしていましたが、隣に支援者がついてNさんのペースに合わせながら授業を進めていったところ、今では学んだことをきちんと習得してそれをアウトプットする力がついてきました。学習者の特性に合わせた支援によって、日本語力の向上というのは大きく変わるのだなと実感しています。

 普段仕事をしていても職場であまり日本語を使う機会がないという声をよく聞きます。また勉強したくても仕事の都合や小さな子どもを抱えながらの参加が難しいという声も聞きます。この日本語教室が、学習者の「学びの場になり、アウトプットの場になり、居場所になり」そして地域社会につながる一歩に繋ってほしいと思っています。